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2013年5月30日木曜日

転換社債(取引相場のない株式)の算式

転換社債が、

①社債が上場・登録されてない
②株式に転換した方が有利
③株式が取引相場のない株式

の場合には、


(N+P×Q)/(1+Q)

という算式を用いて評価額を計算する。

※詳細は国税庁↓を参照すべしhttp://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka/08/07.htm#a-197_5



今日はこの算式を完全に覚えるべく考察してみた。


まずこの算式の意味は「株式に転換前の社債も含めて株価を計算しよう!」ってこと。

①未転換の社債分も含めた株式の評価額の総額=
N×発行済株式数+未だ転換してない社債の総額


②未転換の社債分も含めた株式数の総数=
発行済株式数+未だ転換してない社債の総額/転換価格


③未転換の社債分も含めた1株当たりの株価=①÷②=
(①÷発行済株式数)÷(②÷発行済株式数)


④②÷発行済株式数=
1+未だ転換してない社債の総額/転換価格/発行済株式数=
1+増資割合=1+Q


⑤①÷発行済株式数=
N+未だ転換してない社債の総額/発行済株式数=
N+転換価格×増資割合=N+P×Q


⑥できあがり
③=⑤÷④=(N+P×Q)/(1+Q)







2013年5月15日水曜日

種類株式の評価

相続税計算上注意すべき「種類株式」といわれるものは3種類ある。

①配当優先の無議決権株式
②社債類似株式
③拒否権付き株式


普通株式とは異なる方法による取引相場のない株式の評価方法が定められているので注意が必要となる。




①配当優先の無議決権株式

まず「配当優先」であることの考慮をする。注意すべき所は1点だけ。
類似業種比準価額の比準割合計算上の「1株当たりの配当金額」について、普通株式と配当優先株式を種類ごとに計算する。


次に「無議決権」であることについては原則的には考慮なし。
ただし一定の届出をした場合に限り(試験問題には何らかの指示が出るはず)、原則的評価方式による無議決権株式の評価額を5%減とし、議決権のある株式の評価額にその分だけ加算とすることができる。





②社債類似株式

これは社債(経過利息なし)として評価。その他の普通株式の評価に影響する。注意点は以下の通り。

(イ)類似業種比準価額
・普通株式に係る資本金等の額、株式数、配当金で計算
・社債類似株式に係る配当金は社債利息として、利益金額から控除
・社債類似株式に係る資本金等の額は社債(負債)として、

純資産価額から控除

(ロ)
・普通株式に係る株式数で計算
・社債類似株式に係る資本金等の額は社債(負債)として、

相続税評価額&帳簿価額に加算



③拒否権付き株式

何にも考慮なし。試験でこれが出題されても惑わされないように。





【おまけ感想文】
税理士試験において「取引相場のない株式」は必ず出題されると思います。昨年までの私は、時間配分のためにわざとに解かなかったり適当にサーと解くだけだったりしました。というのも取引相場のない株式の評価は、他の財産評価に比べて格段に時間を要するため、ここで時間配分するしかないなと考えていたからです。

しかし、数年受験してみての反省点がそこでした。まあ試験委員によっては異なるかもしれませんが、近年の出題傾向では更に時間のかかる取引相場のない株式(例えば、純資産価額の計算で相続税評価額が合計で与えられず科目毎に調整等しなければいけないもの)を出題してその分配点も多く与えている気がします。
今年度の私の予定ではまっさきにこれの解答をしようかなと考えていますが。時間配分うまくできるか自信ないです・・そのプランが吉と出るか凶と出るか。8月が楽しみ(恐怖)であります。

2013年5月13日月曜日

小規模宅地等の計算明細書

小規模宅地等の計算の端数処理について考察。
宅地の地積については、
一般的に小数点以下2位未満切捨てされている場合が多い。



【疑問】
では、小規模宅地等の課税価格計算特例適用時に、
持ち分割合や賃貸割合によって特例対象宅地等の面積に端数が生じた場合も同様に小数点以下2位未満切り捨てすべき?



【考察】
相続税申告書の第11・11の2表の付表2の1の「③面積」は、
小数点以下6位まで書く欄がある。


次に「⑤選択宅地等面積」には枠が設けられていなく、
それを転記する付表2の2「⑪小規模宅地等の面積」は、
なんと小数点以下8位まで書く欄が設けられている。



【結論】
まあどーでも良い(納税者有利となる処理でいい)って事でしょう(笑い

試験対策的には、端数処理なしでおK。実務上は、税額に差ないだろうし小数点以下2位未満切捨てくらいが解りやすい。


【おまけ】
第11・11の2表の付表2の2について。
⑫小規模宅地等の価額=宅地等の価額×⑪/③↓円未満切り捨て。
⑬減額される金額=⑫×80% or 50%↓円未満切り捨て。


宅地の単位当り計算時と同様に、一気通貫でやっちゃわないように注意!

2013年5月9日木曜日

非上場株式等の相続税の納税猶予

株式等納税猶予額の計算書(相続税申告書 第8の2表)について、
試験対策上覚えておくべきことを考察してみた。 




1(1)③特定価額
=特例非上場株式等-債務控除
債務控除を忘れないことと「課税価格」と同様に千円未満切捨てに注意。
債務控除額は納税猶予される特例非上場株式等の価額から優先的に控除される取扱いとなる。




1(1)④特定価額の20%相当額
単純に③×20%でおK。これまた千円未満切捨てに注意。
特例非上場株式等×20%-債務控除ではないので勘違いしないように。




2⑦「納税猶予の基となる税額」と「納税猶予限度額」のようなもの
⑦は、云わば「納税猶予限度の超過額」のようなもの。
算式の「①+a-b-⑥」を、
⑦={a-b}{⑥-①}に変換したら解りやすいかも。



a-b=農地等の納税猶予風に云えば「納税猶予の基となる税額」
特定価額の80%相当額に基づく算出税額+左に基づく2割加算額
農地等の納税猶予と同様に、経営承継人が2割加算対象者の場合には考慮する必要がある。



⑥-①=「納税猶予限度額」(仮称)
暦年課税の贈与税額控除のみ適用しない場合の納付すべき相続税額
債務控除とは逆に、暦年課税の贈与税額控除額は、特例非上場株式等の価額以外の財産に対応する算出税額から控除される取扱いとなる。




2⑧納税猶予税額
=
a-b-⑦=納税猶予の基となる税額-納税猶予限度の超過額



【まとめ】

・特例非上場株式等の80%相当額に基づく算出税額が納税猶予される。

・特例非上場株式等の80%相当額に対応する2割加算額も納税猶予額に含める。

・納税猶予の限度とされる金額は、暦年課税の贈与税額控除のみ適用しない場合の納付すべき相続税額。つまり暦年課税の贈与税額控除額は特例非上場株式等以外の算出税額から控除する取扱いである。

・納税猶予額計算の基礎となる特定価額から債務控除する。つまり債務控除額は特例非上場株式等の価額から控除する取扱いである。

・特定価額(千円未満切捨て)×20%=特定価額の20%相当額(千円未満切捨て)

2013年5月2日木曜日

非居住無制限納税義務者の改正

平成25年度相続税法の改正で、
日本国籍を有しない非居住者について、
従来は「制限納税義務者」として居住者から取得した国外財産は課税対象外とされていたが、それを利用した租税回避行為を防止する目的で、「無制限納税義務者」の範囲が拡がりました。


もう少し具体的に言うと、
日本国籍を有しない個人でも、被相続人が相続開始時において法施行地に住所を有していた場合には、「非居住無制限納税義務者」とする文が追加されました。
 

なんか条文通りだとすーと入ってこなかったんですが、
要するに(非居住無制限納税義務者の範囲を逆に読みとくと)、
制限納税義務者に該当することとなる者は、以下のすべてに当てはまるケースのみ。
 
被相続人日本国内に住所を有していない
相続人等日本国内に住所を有していない
相続人等日本国籍を有しない又は
相続人等日本国籍を有する場合でも長期間(5年以前)
相続人等及び被相続人日本国内に住所を有したことがない
 
※贈与税の場合は贈与者と受贈者とに読み替えて。
 

計算対策(実務)上は「上記以外の非居住者は、無制限納税義務者になる。」と理解したほうが良さそうですね。
 
あと試験対策上の要注意点は、上記の改正は、
平成25年4月1日以後の相続・贈与について適用されるということ。
平成25年3月31日以前の相続・贈与は旧法の範囲なので、
計算問題を開いてまず目にすべきことは新法適用か旧法適用なのか、また生前贈与加算なども新法範囲でやってしまわないように!